50代で再挑戦★英検®1級一次合格しました【準備編】

みなさん、こんにちは。いつもサイトを見てくださり、ありがとうございます。

今日はご報告があります。
2024年1月21日、英検®1級を再受験いたしました。

前回の合格から十数年が経過。
50代半ばになり、フィジカル面でいろいろと衰えを感じる中、一念発起で英検®1級の再受験に挑みました。

結果は…

かろうじて一次合格しました。

合格点をわずかに上回る程度の「ギリギリ合格」。こんなブログをやっていながら恥ずかしい限りです。

でも、こんな情けない点数でも一次突破できる。そんなリアルな見本として、逆に皆さんを勇気づけられるのではないかと思い記事にすることにしました。

それに、50代でもできるのだから年齢なんて関係ない?!
そんな風に受け取っていただけたら嬉しいです。

再受験を決めてから勉強に集中したのは約3か月半。
どんな風に準備したの?
参考書は?
各パートの対策は?
当日の時間配分は?
スコアは?


すべて公開させていただきます。

英検®1級に再挑戦したわけ

私は留学経験なしですが、英検®1級のおかげで語学業界に就職。ずっとこの業界にいます。英会話講師としてスタートしましたが、現在はティーチングからは退き、教材作成など、エディターとして働いています。

英語は業務の中で日常的に使いますが、本当にヘタクソ。発音が悪い。流暢さゼロ。ミス多し。でも、慣れと気合でブロークンな英語で勝負しています。

ネイティブと話すときは今でも緊張するし、洋画や洋楽もあまり聞き取れない。でも、仕事や趣味で英語を通して外国人と交流する機会は多く、なにかと英語を使う生活を送っています。

しかし、業務で英語を使っているだけでは同じような表現ばかりを使うので、語彙が増えません。また、自分の仕事と関係ない分野については触れる機会もありません。衰えてはいないかもしれないけど、進化もしていない自分にふと気づくことがありました。

そんな中、皆さんもご存知のように英検®が2024年から大きくリニューアルするニュースが飛び込んできました。英検®1級はライティングに新たにサマリーが加わるらしく。かなり大きく変わりそうです。

せっかくだから、リニューアル前にもう一度受験してみようかな。

そんな思いつきから、再挑戦が始まったのでした。

使用した書籍、参考書

まずは、参考書を購入。
今回の準備で使ったのは以下の5冊です。

旺文社 英検®1級でる順パス単
旺文社 2023年度版英検®1級過去6回全問題集
ジャパンタイムズ 最短合格!英作文問題完全制覇
旺文社 分野別ターゲット 英検®1級長文読解問題120
旺文社 分野別ターゲット 英検®1級英作文問題

はい、王道のものばかりです。ええ、英検は王道の参考書がいちばんいいのです。

これに加えて、英検協会が公式サイトで公開されている3回分の過去問を使用。とにかくコツコツやるしかないのが英検です。では、どのように勉強していったかパートごとにをご紹介します。

英検®1級の過去問・試験内容(公式サイト)

語彙対策

英検®1級と言えば、筆記問1の語彙問題25問が非常に難しいことで有名です。

私は以前、語彙パートにとにかく苦手意識がありました。今回、十数年ぶりなのでかなり忘れているはずだと思い、最初からやり直すことにしました。まずは「パス単」を最初から全部聞き直すことから始めました。

見出し語番号1001以降がカギ

「出る順パス単」はその名の通り、英検に出題されやすい順番に語彙が紹介されています。1級は単語・熟語2400語が収録されています。

初めからチェックしていると、最初の1000語くらいまではだいたい覚えていることがわかりました!よかった!

そこで、1001語以降(でる度B セクション11~)を重点的にチェックすることに。

「英語の友」でシャドーイング

語彙は音声を聴きながらの勉強が効果的です。今回、旺文社のアプリ「英語の友」をフル活用させていただきました。

アプリでは、見出し語➡和訳➡例文、の順で音声読み上げしてくれるので、シャドーイング中心に取り組みました。

100語で1セクション。数分あれば1セット完了です。最初のうちはあまり覚えようとせずに、とにかくシャドーイングすることに集中して取り組みました。

意外に効果的な「1分間 mini test」

「パス単」の各セクションの終わりに掲載されている「1分間 mini test」という単語テストは短いけどおすすめです。

このテストは各セクションから10問抽出して問題が作られているのですが、このテストのおかげで定着率が高くなったような気がします。出る単の中でも頻出語を選んで出題してくれているようなので、意外にバカにできないテストだと思います。

ボキャビルの王道、語源調べ

英検®準1級以上の勉強には「語源」がかなり効果的。というか、逆に語源を調べないとなかなか単語が頭に入りません。ネットで調べれば語源はいくらでも出てくるので、スマホで調べつつボキャビルを行いました。

語源+ダジャレで脳にはりつける

語源だけだとなかなか覚えにくい単語も、ダジャレをミックスするとわりと覚えやすかったです。

例えば、tamper という単語がなかなか覚えられませんでした。tamper withで「不正にデータなどを改ざんする」という意味なのですが、フランス語の単語が語源になっており、そもそも知らない単語なので記憶に残りません。しかし、tamperとものすごく似ているtemperを利用して「テンパって不正に書類を書き換える」のようにダジャレ化しておくと忘れにくくなります。

英検®1級単語のダジャレをネットで公開してくださっている方も多数いらっしゃいます。ぜひ先人の知恵をお借りしてボキャビルに励みましょう。

熟語はコスパがいい!

今回、熟語にも力を注ぎました。

以前の受験時は基本単語だけでいっぱいいっぱいで、熟語までは手が回らず捨てていたのですが、非常にもったいなかったです!実は熟語はコスパがよいことが分かりました。

熟語は見出し語に比べると難易度が低く、数も少なめ。「パス単」に収録されているのは300個だけです。しかも、出題されるときも大変わかりやすい会話などで使われるので5秒くらいで解けたりします。

300個分をすべてエクセルシートに入れて、試験1週間前に集中トレーニングしたところ、当日の語彙問題は3問とも正解できました。熟語のおかげで合格ラインに滑り込んだようなものです。

2024年のリニューアルで語彙問題の数が減るので熟語が何問残るかまだ分かりませんが、いくつかは残ると思うのでぜひ取り組んでみてください。

長文読解対策

英検®1級の長文読解問題は全部で5問あります。

・空所補充問題が2問
・500語程度の内容一致選択問題が2問
・800語程度の内容一致問題が1問

決して少ないとは言えない分量なのに、60分程度で終わらせないと英作文を書く時間がなくなってしまうという難所です。

過去問題集で過去問を解いてみたところ、ぜんぜん分からない、読み切れないので絶望しかけました。しかし、試験直前までになんとか自信を持って読み込めるまでに。どうやってそこまでもっていったかをご紹介します。

長文読解問題の難易度

上記で書いた通り、長文読解問題は3種類あります。それぞれの難易度で言うと、

空所補充 > 500語内容一致 > 800語内容一致

となりました。(私の場合)

意外かもしれませんが、空所補充はいちばん短いのに、いちばん難しいです。文が短い分、流れを読み間違えると答えを見失ってしまうのです。

それに対して、内容一致問題は質問文があるので、その問題に該当する箇所を探しあてればよいので解きやすいです。

答えは前から順番なので、質問文を読む➡該当箇所を探す➡見つかったら選択肢と照らし合わせる、という順序で答えにたどりつけます。

選択肢もあまりひねりがありません。間違いのものは明らかに間違いなので、あまりひっかけられることがないのもいいところです。

800語の内容一致は読む分量は多いのですが、語数が多い分、内容が薄くなっています。答えに該当する部分の前後には言い換えや説明がたくさんあって、想像がつきやすいため、500語よりも答えにたどりつきやすいことがわかりました。

長文読解問題の頻出テーマ

英検の大部分を占める長文読解問題ですが、出題される文章の内容はかなり偏りがあると感じます。裏を返せば、頻出のテーマを中心にいろいろ読んでおけば読みやすくなると言うことです。

また、英検の長文読解問題は背景知識がなくても読める、と言われています。それは、たしかにそうです。しかし、実際のところは、背景知識があるにこしたことはありません。もし、知っている内容が出れば、自分の知識と照らし合わせながら読み進めていけるので、読み間違える確率が断然少なくなります。実際、私は新聞で読んだのと似た内容の問題文に出会ったことがあり、その時は非常に楽でした。

頻出テーマを知り、日ごろから日本語でもそれに近い内容を読んでおくのは悪くないでしょう。では、英検®1級の長文読解ではどんな内容がよく出題されるのでしょうか。私見ですが、発表します。

  • 学術的な研究内容について
  • 宇宙開発、星の謎や宇宙の神秘について
  • 近代の戦争での戦い方や戦争での英雄について(第二次世界大戦多し)
  • 植民地時代の原住民への差別的な歴史について
  • 心理学や哲学などの学説について
  • 古代の技術と現代の技術と比較について

私の感覚では、戦争と宇宙関連は毎回のように出題されています。19~20世紀に起こった戦争については非常によく取り上げられているので、当時どの国とどの国がライバル関係にあったとか、大き目の戦争などをざっくり知っておくだけで読みやすくなります。

植民地政策に関する歴史もよく取り上げられます原住民から不当に利益搾取する大国の暗黒歴史が中心。虐げられた原住民が自由を勝ち取っていく過程が書かれていることが多いですが、最終的に原住民が滅んでしまうようなシビアの内容の時も。読後にムカムカすることもあります。

戦争の英雄が取り上げられることも多いのですが、その人物の光と影の両面が書かれることが多いです。そのため、文章のポジネガが頻繁に入れ替わり、褒めたと思えばけなしたりで、迷子になりやすい構成になっています。

考古学的な発見もよくテーマになりますが、ある仮説について賛成するAと反対するBの意見が交互に出てくるなど、とにかく流れが行ったり来たり(わざとですね。)

流れをつかむために重要な”however”などのつなぎ言葉は文頭には置かれず、たいてい文の途中に差しはさまれているので、注意深く見つけることが肝心です。

「分野別ターゲット」で時間感覚を養う

英検®は時間配分が非常に重要。一問に何分くらい使えるのか知らなければ焦って集中できなくなります。

その時間感覚を養うのに非常に役立ったのが「分野別ターゲット 英検®1級長文読解問題120」でした。


このシリーズは各問題の目安時間が書いてあります。例えば、空所補充問題は5分が目安。そこで、スマホで5分にタイマーをセットし、問題を解いていきます。

最初は5分ではまったく解けません。しかし、何度かやっていくと、時間内に解けるようになっていきます。

500語内容一致は10分、800語の内容一致は25分、

目安通りに訓練していったお陰で、当日のタイムマネージメントがかなりうまくいきました。

長文読解問題は全部読むべき?

よく議論されることに、長文読解は全部読むべきなのか、それとも質問の答えになる部分の前後のみで判断すべきなのか、があります。私はこれまで、できるだけ全部読まないで効率的に答えの部分を探す方法を模索していました。

しかし、今回分かったのは、長文は全部読むべきです。
時間内に全部読めるくらいの読解スピードがないと、受からないのかもしれません。

先ほども書いた通り、英検®の文章はおそらくわざとグネグネ行ったり来たりする、わかりにくい書き方になっています。なので、拾い読みをしたら、流れを見失ってかえって時間がかかってしまいます。潔く最初から全部読んで、注意深く問題を解いていった方が断然正解率が上がります。全部読む!という気合で読んでいきましょう。

長くてややこしい名前に惑わされない

長文読解でイヤなのが、専門用語や長い化学物質の名前などにどうしても惑わされてしまうことです。

よくあるのが、◯◯ theoryのように、何かの理論や考え方に名前がついている場合です。その名前に使われている単語自体が理解できない場合でも、それを知らなくても大丈夫なようにかならず前後に説明があるので、慌てず探しましょう。

星の名前、経済理論、神経伝達物質の名前など、長ったしい名前に惑わされず読み進めてください。

読み物として楽しむ

ネットで「英検®1級のリーディングは普通に面白い」という発言をよく見かけますが、私もこれには大賛成です。

読みながら「へー」と感心してしまったり、ネットでもっと調べてしまうこともあります。おそらく、問題選定者の方に哲学があり、それに合致した内容のものが選定されているからだと思います。

内容が楽しめるようになると読むスピードも上がるし、正答率も上がります。私も今回、試験直前には読解問題を読むのが楽しみになっていたので、そのお陰で一次をパスできたのかもしれません。

リスニング対策

リスニングは私の苦手パートで、今回の結果では最も点数が悪かったです。しかし、一般的にはリスニングパートは他のパートに比べて難易度が低め。留学経験があるなど、英語の音に慣れている受験者さんにとってはリスニングパートは得点源になるでしょう。

リスニングパートの難易度

リスニングパートは以下の4つのセクションで構成されています。
Part1:会話の内容一致
Part2:文の内容一致
Part3:リアルライフ形式の内容一致
Part4:インタビューの内容一致

難易度は以下の通り。(私見です)
Part2>Part4>Part3>Part1

Part1は会話なので、最も簡単です。点数を落としてはいけないセクションです

Part2は私の大の苦手セクション。まとまった分量のパッセージがモノローグで読まれ、それに対して質問2つに答えなければなりません。質問文は問題用紙に書いていないので、選択肢から質問を想像しつつ、正確に聞き取らなければなりません。

Part3は聞きながら選択肢をしぼっていくような形式。会話口調で聞き取りやすいし、買い物や道案内など、身近なトピックが多いですが、気を抜くと大切なキーワードを聞き逃して、間違った答えを選んでしまいます。

Part4のインタビューはナチュラルスピードで分量も多いのですが、意外にわかりやすいです。ほとんどが仕事やキャリアに関する話題なので、自分にとって身近な業界だと特に分かりやすいです。海外ドラマなどをよく見ている人には得意なセクションではないでしょうか。

リスニング対策は過去問をシャドーイング

リスニング対策もシャドーイング中心でした。

過去問題集のリスニングをまずは解いてみて、しっかり復習をします。それから、「英語の友」アプリを利用して、間違えた問題を中心にシャドーイング。特に苦手なPart2のパッセージをよくシャドーイングしました。

Part2のパッセージはリーディングパートのパッセージともわりと似通っています。また、ライティングに使えそうな内容のものもあるので、他のパートの点数アップにも役立ちます。

知らない単語、表現は聞き取れない

間違えた問題を復習していて気付いたことは、知らない単語や表現が出てきたときに間違えているということ。決して耳が悪くて聞こえていないのではなく、聞こえているけど理解できていないから間違うのです。つまり、リスニングの点数アップにも語彙力アップが欠かせないということなのです。本当に英検は語彙力が必要な試験です。

Part1でidiomがちょくちょく使われている

Part1の会話文でよくidiomが使われていることがわかりました。例えば過去にはこんなidiomがPart1で使われています。

・get swamped with (~に謀殺される)
・off the top of my head(頭にぱっと思い浮かぶ)
・go overboard(調子に乗って、やりすぎる)
・Come off it.(ばかなこと言わないで。)

こういった表現が内容一致のキーワードになっている場合、知らないと会話の流れを見失って間違う結果になります。というわけで、会話でよく使われるidiomもチェックしておくと万全でしょう。

ライティング対策

本ブログのテーマ、ライティング対策についてお話します。

英検®1級のライティングは以下のような形式です。

・トピックにあったエッセイ
・理由3つを含む5パラグラフエッセイ
・語数の目安は200-240語

ちなみに、語数は目安で、答案用紙がバランスよくだいたいうまれば数えなくてよいそうです。

最近のトピックの傾向

最近の英検®1級ライティングのトピックは、あまり具体的でなく、いろいろな観点から書くことのできるざっくりしたものが多いようです。

今回のトピックは以下のようでした。

Should science be relied on to solve humankind’s problems?

「科学」も「人類の問題」も範囲が広いので、何でもいけそう。
準1級のちょっと長い版、くらいの認識で大丈夫です。

ネイティブに指導してもらおう

ライティングだけは独学が難しいので、プロに指導してもらった方がよいでしょう。その際、英検®1級に関してはぜひネイティブにお願いするべきだと思います。非ネイティブでは気づかない語彙の選び方や理論の展開のし方などがあります。

私は今回、4つの英作文をチェックしてもらいました。すべてこのブログで公開しています。英検®1級の予想英作文については「英検®1級」のカテゴリで記事をご覧ください。

辞書の情報は古いことがあります。また、意味は正しくても、前後を考えると語の組み合わせがおかしい、という場合もあります。辞書に頼りすぎず、ネイティブに頼った方が自然な表現になります。

私はもう8年くらいお世話になっているイギリス人の先生にお願いしています。私のキンドル本の校正もその先生にお願いしました。アイエルツの指導などされている先生なら、英検のライティング指導もしてくださるはずです。オンラインでいろいろな先生が見つかるので、ぜひネイティブに添削をお願いしましょう。

以上、英検®1級再受験についての準備編でした。

次回、当日の時間配分、結果などについて書きますね。ではまた。