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さて、先日「キャッシュレス社会」についての記事をアップしました。
デジタルマネーは便利で安全。海外に行っても換金要らずでいいことずくめ…みたいな内容でしたが、現実はそんなにシンプルではありません。
現金が完全に使えなくなると、様々な問題が起こるはずです。
実は他国では既にいろいろな問題が起こっているのです。
本日は実際に急速にキャッシュレス化しているスウェーデンとインドの事情を取り上げたBBCの記事を参考に、逆サイドの英作文を作ってみたいと思います。
完全なキャッシュレス社会の問題点とは?
こちらは約1年前の2018年4月のBBCの記事です。(準1~1級レベル?)
スウェーデンとインドのキャッシュレス事情についてレポートされています。ちょうど1年前の記事なので、少し情報は古いかもですが、他国での状況がわかりやすく紹介されています。
国が進めるキャッシュレス化
スウェーデンはキャッシュレス化に国をあげて取り組んでおり、ストックホルムでは日本では考えられないようなことが起こっているようです。
記事によると、現金での支払いは全体の20%弱。5年前に比べて半分になりました。
現金の使用を規制する法律ができており、お店は現金を拒否することができるそうです。
マジ~?と思って「地球の歩き方」のサイトでスウェーデン情報を確認すると、本当に公共機関の券売機では現金不可がほとんどとのこと。旅行者はクレジットカード必須とありました。
技術についていけない高齢者
このような徹底したキャッシュレス化についていけない人々も存在します。テクノロジーの進化から取り残される人々、主に高齢者です。
記事では、自力でインターネットで切符を買うことができない高齢者の女性が紹介されています。彼女はデジタルマネーの使い方が分からないため、カフェで飲み物を買うにも苦労しています。
コンピューターやインターネットが苦手な年代の人々は、キャッシュレス社会から取り残されがち。超高齢化社会の日本だとどうなる?とかなり心配です。
Niklas Arvidsson, professor at the KTH Royal Institute of Technology and Sweden’s leading expert on the payment system, acknowledges that certain demographics are in danger of being left behind, like the elderly.
from BBC Capital Does a cashless society benefit everyone?
脱税・窃盗は減るが…権力の集中が起こりやすい
専門家によると、キャッシュレス化は全体としてはコストが減って社会の利益になるとのこと。また、政府にとっては脱税や窃盗が減るなどのメリットが大きいそう。
でも、力のある企業(銀行)に権力が集中する恐れもあるとのこと。
自由競争がなくなるのは、資本主義ではよくないことと考えられています。
We might end up in a situation [where] a few commercial banks have a lot of power.
from BBC Capital Does a cashless society benefit everyone?
データの安全性やプライバシーへの懸念
もう一点、懸念されているのがデータの安全性とプライバシーの問題。
データ漏洩(data breach)は実際にたくさん起こっています。支払い情報は個人のプライバシーに大きく関わっているので、キャッシュレス化の大きな課題です。
“I think those are the issues the entire world right now is grappling with post-Facebook,” she says. “Government and regulators have to act really fast to plug the data breaches which are happening all across the world, and even in India.”
Monica Halan from BBC Capital Does a cashless society benefit everyone?
デジタル決済だとすべての履歴が残るので、それに抵抗を感じる人は多いですね。昨年Facebookで大規模なデータ流出があって、日本ではそれほど問題視されていないようですが、アメリカとかヨーロッパではしつこくこのネタが取り上げられています。
これと対照的なのが、前回ご紹介した動画に登場する中国の人々のプライバシーに対する感覚。「どうせ政府は私たちのことを全部知ってるんだから。犯罪さえしなければ大丈夫」と、まったく気にしていない様子。
The government already know everything about me. If I am not committing a crime, they don’t give a shit.
from China’s Great Leap to Wallet-Free Living | Moving Upstream
お金が持つ金額以上の価値
あと最後に、これはわたしの意見なのですが、現金への愛着というか執着があると思います。全部デジタルにするのはちょっと悲しいというか。
歴史的に為政者たちは皆、自分の顔を貨幣に描かせようとしたように、コインや紙幣は権力の象徴であり、それを使う人々もただの流通手段以上の意味をお金に置いているのではないかと。
日本ではご祝儀にはピン札を使いますよね。新券にはその金額以上の意味があるわけです。お年玉を振り込みやポイントでもらったら、嬉しさ半減になりませんか?
アメリカ人は25セントコインが大好きですね。もしなくなったら、悲しむ人はいないのか?
それも理由のひとつに挙げてみたいと思います。
ここまで、キャッシュレス社会の現状を見てまいりました。現金が生き残る可能性もまだまだありそうです。
ということで、「現金は生き残る」という立場で作文にまとめてみたいと思います。
英作文例(反対)準1級~1級
今回は準1級~1級をカバーできるように、理由を3つ書いてみました。準1級は2つでよいので、どれかひとつ削って下さい。
※準1級:理由2つ 語数120-150、1級:理由3つ 語数200-240
TOPIC: Do you think cash payments will disappear in the near future?
These days, some people say that cash is quickly becoming a thing of the past. In fact, digital payments are on the rise and some countries already do away with cash. However, I believe that cash will continue to survive even in a cashless era because many problems will happen if our society goes completely cashless.Firstly, some people who are not familiar with latest technology will stick to cash payments. For example, many elderly people do not know how to use mobile devices. They have no choice but to use cash. Children might also keep using cash.
Secondly, many people are concerned about data security of digital transactions. They are not comfortable with the fact that their governments or a few large private companies could know everything about them. Such people might refuse to use digital payments for fear of data breaches of their payment history. Thirdly, some people have a strong attachment to their currency. Money has a long history. Each currency has been seen as a symbol and pride of each nation. Therefore, some people might not stop using physical money even if they are useless. Taking all these reasons into account, the realization of a complete cashless society is unrealistic. (204 words) |
対訳:最近では現金は過去の遺物になりつつあると言う人もいる。実際、デジタル決済は増えており、現金を廃止した国もある。しかし、わたしはキャッシュレス時代にも現金は生き残ると思う。なぜなら、完全にキャッシュレスにすると様々な問題が起こるからだ。
まず、最新技術についていけない人は現金決済を続けるかもしれない。例えば、高齢者の多くはモバイル機器の使い方がわからず、現金を使う他ない。子どもも現金を使い続けるだろう。
また、デジタル取引の安全性を懸念する人も多い。政府や一部の大企業に自分のすべてを知られることに嫌悪感を持つ人もいる。そのような人は、自分の支払い履歴漏洩を恐れ、デジタル決済を拒むかもしれない。
3つ目には、自国の通貨に愛着を持っている人もいる。お金には長い歴史があり、お金はこれまで国のシンボルや誇りと見なされてきた。だから、現金が無用になっても、使い続ける人がいるかもしれない。
これらの理由を考えると、完全なキャッシュレスは現実的ではない。
このトピックで覚えたい語彙・表現
on the rise 増えている
do away with 廃止する
completely 完全に(副)complete 完全な(形)
be familiar with ~に精通している 詳しい
stick to くっつく、やりつづける
no choice but to (do) するほかない、他に選択肢がない
digital transactions デジタル取引
for fear of ~を恐れて
data breach データ漏洩
attachment 愛情・愛着
currency 通貨
physical money 現金のこと(digital moneyと対比してよく使われる)
使いたい表現 go cashless
このネタで動画やネットを調べていて go cashless という表現によく出会いました。
go+形容詞 の形で「~になる」という意味があるらしいです。英作文のイントロで使ってみました。
似たような表現で、go green(環境に優しくなる)も使えそうです。
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