もはやカオス?全国の高校の校長が大学入試共通テストの英語民間資格試験活用延期を要望

こんにちは。

10月の英検申し込みは残り2日です。10/12締め切り。また延長するかもしれませんが、申し込みはお早目に。

英検ホームページ

さて、2020年度から実施される大学入試共通テストの民間英語検定活用が荒れています。

もちろん以前から反対の声はあったのですが、現文部科学大臣の「サイレントマジョリティ発言」以来、声を上げる人が激増しました。黙っていては「賛成」にされてしまいますから!

8月末には文科省の前で反対集会が起こり、本日のニュースでは全国の高校の校長先生の団体である全国高等学校長協会(全高長)が、2020年4月からの実施を延期するよう文部科学省に要請する方針を固めたそうです。

わたしは高校生の子どもがいるのですが、現在高3でセンター試験を受験する最後の学年。浪人さえしなければ、英語民間検定活用にはうちは一切関係ありません。そんなわけで、半ば他人事で、高見の見物を決め込んでいたのです。(英語の講師としては興味を持っていなければならないトピックですけどね)

先週、高2の子どもを持つ友人から「ついに大学入試用の英検申し込みの案内が学校から来た!」という話を聞き、民間英語検定の現状について情報を得る機会を得ました。

当事者からの貴重な情報と、あれやこれや教えてもらったのですが…

やはりわからないことだらけ(;O;)

とにかくものすごく分かりにくくて、一度ではぜったい理解できないような難解なシステムであることだけは分かりました。

そして、今がまさにこの民間英語検定活用を延期または中止できるぎりぎりのポイント、英語で言うところのpoint of no returnの一歩手前であることが分かりました。

来年4月以降に受ける英検のためにいま席を確保しなければならない お金も発生する(しかも返金なし)

大学入試共通テストの民間英語検定活用についておさらいしてみましょう。

センター試験の後継である共通テストは、センター試験にはない様々な力を測定するための新しい試みが盛り込まれています。

英語に関しては「スピーキング」が導入されます。センター試験は「読む書く聞く」の3技能でしたから、そこに「話す」が入ります。

しかし、「話す」を測定するにはいろいろと技術的な課題があるため、そのノウハウがある民間の資格試験を活用しましょうということです。2023年度までは共通テストの英語の試験(3技能)も実施しますが、同時に英検やGTECなど民間検定も受験に組み込みます。

高3の4~12月の間に受験した結果を受験に活用

もちろんコンセプトは悪くないです。

手前みそっぽいのですが、大阪府はすでに3年ほど前から府立高校の受験で英検を活用しています。英検準1級ならみなし満点、2級で80%換算です。

  受験シーズンがそろそろ終わりですね。結果待ちの方も多いことでしょう。本当にお疲れ様でした。 ...

大阪府立高校の活用はとてもシンプルなんです。出願の時に合格証のコピーを一緒に提出すればよいのです。受験時期も特にうるさく言われなかったと記憶しています。

しかし、2020年度からの大学入試共通テストはそんなシンプルな話ではありません。

活用される検定が英検だけでなく、複数あるからかもしれません。また、大学入試なので不正や間違いがないように細心の注意を払わなければならないからかもしれません。とにかく仕組みや手続きが煩雑でわかりにくいのです。

わかりにくいだけならまだしも、約半年後にスタートする時期にもかかわらず、多くのことがまだ決まっておらず、情報提供もないため、高校や塾は大混乱なのです。

半年後の受験のために席とりの予約が必要

現在高校2年生の皆さんは、初めての英語民間検定活用が来年の4月から始まります。つまり高3になった途端、もう大学受験がスタートするのです。しかも申し込みは半年前の今月の10/7までに第1回目の英検申し込みをしなければなりません。

「英検2020 1 day S-CBT」というのが、共通テスト用の試験のようです。

英検ホームぺージに概要説明などがあります。学校を通して申し込むのでしょうか。サイトに申し込み用ページはなさそうです。

英検2020 1 day S-CBT

会場をおさえたりするためには受験人数を把握しなければならないので、席を予約するための申し込みがもう始まっています。

席を予約するためには予約金が発生し(でないとドタキャンだらけになるだろうからでしょうが)、受験しなくても返金はなし。このシステムはもう走り出しているわけです。このお金を受け取ってしまったら、延期も中止もできない?やめるなら今しかない!そんな瀬戸際まで来ているのです。

英検以外の検定の実施要領や日程は?

ご存知の通り、共通テストで活用することが決まっている検定は英検を含め現在6つあります。

ケンブリッジ英語検定
英検
GTEC
IELTS(2つの団体が実施)
TEAP
TOEFL

TOEICが撤退したのはニュースになりましたし、こちらの記事でも紹介しました。

TOEICが令和2年度から実施の大学入試共通テストの英語民間資格・試験活用から撤退を表明。「運営手順が複雑で責任を持って実施できない」ということですが、他の資格・試験はどうなのでしょうか?受験生はどの資格・試験を受けるのがよいのでしょうか?現状をまとめてみました。

とりあえず、英検は走り出しているとして、そのほかの資格試験はどういう状況なのでしょう。

文科省の大学入試英語ポータルサイトを見ても「未定」ばかり

受験生の不安と疑問を解消するため、文科省は「大学入試英語ポータルサイト」というページを作り、2020年度からの民間英語検定活用について情報提供を始めました。

このページから各検定の実施要領や日程に関するページにジャンプできるようになっています。

大学入試英語ポータルサイト

文科省は、このサイトが受験生や高校の先生の不安を払拭できるはずと自信を持って言っているようなのですが、ちらっとのぞいたところ逆に不安をかきたてられるような内容でした。

というのも、英検以外の検定はほとんどが日程も場所もほぼほぼ未定

共通テストの記述テストの採点業務を一括落札したベネッセが実施するGTECでさえ、ほとんど何も決まっていません。

北海道は札幌市のみで実施とか、ありえないでしょう。

カオス状態の民間英語検定活用はいったんリセットが妥当?

「英語の4技能を鍛えよう」このコンセプトに反対する人はほとんどいないと思います。

民間検定活用についても、賛成の人はけっこういると思います。わたしもどちらかと言えば賛成派。日本で英語を勉強してきた過程において、英検やTOEICのような資格試験はやる気と自信を与えてくれた心強い味方でした。だから、うまく活用すれば日本人の英語力向上に役立ってくれるのは間違いないです。

でも、実装が伴わなければどんな素晴らしいコンセプトも使えないものになります。いくら見た目がカッコよくても、着にくかったり、着心地が悪い服はぜったい着ませんから。

「史上最悪の英語政策」

今さらですが「史上最悪の英語政策」を紹介します。民間英語検定活用に一貫して反対してきた東京大学の阿部公彦准教授が2017年に出版された本です。この問題の根本は何なのかがよくわかる本です。

本書には、そもそもこの民間英語検定活用を決めた有識者会議の協議会に、ベネッセや英検をはじめとする利害関係者が複数名含まれていたことが詳しく書いてあります。

この大学入試改革はつまるところ入試の民営化。誰のための改革なのか?とても学生のためとは思えない。

民間活用を熱烈歓迎で進める裏には、それで儲かる人がかならずいる最初からそんな疑惑がつきまとっている改革なんです。

もっとも、こんな複雑怪奇なシステムではぜんぜん儲からないことが分かり、実施団体も意気消沈して何も進んでないのでは?と勘繰りたくなります。

手間とコストばかりで、他の実施団体もTOEICと同じように早々に撤退というシナリオもあり得ます。それでも現高2生たちの一年はもどってこない。新システムのごたごたに翻弄されて、本来受かるべき大学に行けなかった、なんてことはあってはなりません。

阿部公彦氏はこの本の中で、スピーキングをテストすることが英語のスピーキング力アップにつながらないどころか、余計に英語力ダウンにつながることを警告しています。また、「日本人は英語が苦手」「センター試験は英語力をきちんとはかれていない」という認識が時代遅れることを指摘しています。

英語ができる子は実は増えている

末端のペーペーの英語講師である私でも感じることは、日本人の英語力は以前に比べてかなりよくなってきています。英語ができる子が確実に増えています。

それは、ネットなどで自然な英語に触れる機会が増えていること、外国に住んだり旅行したり、海外で働く機会が増えていること、日本に住む外国人が増えて日本国内でも英語を使う機会が増えていることなどが原因だと思います。

今の子は海外留学をしたがらないと言われますが、実は逆です。

幼い頃から夏休みなどを利用して短期で留学する子が増えており、また若い子は数週間程度の留学でも見違えるほど英語力がアップします。彼らは帰国後も現地の友達とネットでつながり、英語でコミュニケーションを取ったりするので、長期にわたってじわじわと英語力がアップするんです。

政策を作る人たちは古い人だから、そんな事情をきっと知らないんです。そんなこともしらず、昔の感覚でスピーキングをやらせたら、4技能がアップすると思っている。たしかに、そういうメリットがすこしはあるかもしれませんが、山のようなペーペーワークをひねり出して、現場を不安と混乱に巻き込むのはばかばかしすぎます。

明日、文部科学大臣が変わるが、何か変わるのか?

こんな時になぜか内閣改造!

安倍首相は11日、第4次安倍再改造内閣を発足させる。  FNNの取材で、9日までに判明していたのは、以下の通り。  安倍首相は、政権の安定を意識して、麻生副総理と菅官房長官を留任。  茂木経済再生相と

明日9/11に第4次安倍再改造内閣が発足し、大臣が一新します。

任期終了間近に炎上してしまった柴山氏に代わって、萩生田光一氏が文部科学大臣になるそうです。大臣が変われば、果たして何か変わるのでしょうか。

ブログを通じて英検と関わる身として、成り行きを見守っていきたいと思います。

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